先日フランスの生クリームやバターで有名なブランドElle et Vireによる講習会を受けるという大変光栄な機会を頂きました。
場所はパリ郊外のヴェルサイユに近い街の閑静な住宅街にある、Elle et Vire傘下のMaison de la Crème。(同じ建物内には同グループ会社でフランス最高級のチョコレートブランド、ヴァローナ社のÉcole Valrhonaがあります)
フランスのMOF(国家最優秀職人賞)のパティシエ部門の一人であるNicolas BOUSSIN氏の元、彼の右腕として働くMaxime氏より、Viennoiseries(クロワッサン等の朝食に食される甘いパン)の講習を受けさせて頂きました。
この日学んだパンは、以下の5種。
1) Croissant : クロワッサン:
2) Couronne Briochée de Noël : バターで層を作ったブリオッシュ生地を編み込んで作られるクリスマス用王冠型パン
3) Nid de Framboise : ラズベリーの巣の意。近年パリで流行っている二色のクロワッサン生地で作るパン。ラズベリーと抹茶風味のクリームチーズ入り
4) Noeud Corman : 結び目 の意。同じくチョコレート生地で色付けし、結んだ二色のパン
5) Patchwork : パッチワークをイメージし、クロワッサン生地の余りを刻んで作られたパン
クロワッサン生地にはElle et Vire社のBeurre Extra Sec 84%という折込生地用のバターを使うのですが、このバターは一般のバター(脂肪分約82%)より脂肪分が高く融点が高い為、焼くまでの工程中にバターが溶けにくくサクサクに焼き上がります。それでいてこのレシピは一般的なクロワッサンよりもバターの量が少なめなので軽い仕上がりです。
パン職人用レシピで一度に作る生地が数kgと大量なので生地を捏ねるのは専用の機械で、伸ばすのにはラミノワールと言う機械を使い、精巧で美しい生地になります。初夏のパリの朝は涼しく、ラボの気温は20度弱。常夏のシンガポールに比べ、本場のフランスは本当にパンやお菓子作りのしやすい環境だと実感しました。最後にメレンゲと生クリーム、フルーツを合わせたここ近年パリで流行りのお菓子、Pavlovaの仕上げも見せて頂きました。Nicolas氏のオリジナルレシピでライチとラズベリーの甘酸っぱく爽やかな組み合わせ。その際、キッチンエイドのロボを使った生クリームの泡だて方を教えていただきました。
生クリームを泡立てる時の重要なポイントは
① 生クリームがしっかり冷えている事。決して14℃以上にはならないように。温度が高いと分離してボソボソのバター状になってしまう。(一般的に最低でも一晩は冷蔵庫で冷やし、3〜5℃のものをと言われます。)
② 泡立ては最初から高速にせず中速で泡立てる事。
だそうです。
このケーキに使われたパティスリー専用のマスカルポーネ入りの生クリームSublimeは、脂肪分が高い分泡立て易く、とてもリッチでクリーミーな出来上がりになります。
お菓子作りには味だけでなく見た目もとても重要ですが、Nicolas氏はお菓子の仕上げにシルバーパウダーを使ったりと、デコレーションも高級感溢れる仕上がりでした。私の専門はどちらかと言うとパティスリー(お菓子)なので、この翌週に開催されるパティシエ部門の講習会に呼んでいただき、急遽参加する事になりました。
そちらはまた改めて報告させて頂きます。